有給休暇は、使わなければずっと溜まっていくのでしょうか?
もし、溜まっていくとするとすごい日数になると思うのですが・・・・。
有給休暇は2年間有効です。
付与された有給休暇を2年間使用しなければ、時効で消滅します。
もっと詳しく
有給休暇は、使用しなければ付与されてから2年間で時効で消滅します。
いきなり結論となってしまいましたが、実際にどのように消滅するのか実例がないと分かりにくいと思いますので、このページでは具体例を挙げながら説明具体的に説明していきます。
その前に、もしかすると有給付与日数に関するルールをご存じ無い場合もあるかもしれませんので、有給付与日数について簡単に説明します。
有給の付与日数は法律で決まっている
正社員について、付与される有給休暇の日数は法律で決まっていて、次の表のようになっています。(労働基準法 第39条第2項)
雇入れ日から起算した継続勤務期間 | |||||||
6ヵ月 | 1年6ヵ月 | 2年6ヵ月 | 3年6ヵ月 | 4年6ヵ月 | 5年6ヵ月 | 6年6ヵ月以降 | |
付与日数 | 10日 | 11日 | 12日 | 14日 | 16日 | 18日 | 20日 |
初めてこの表を見たときはピンとこないかもしれませんので、具体的な例で説明します。
例えば、2020年4月1日に正社員が入社した場合、次のように付与されます。
- 入社6ヵ月後の2020年10月1日に「10日」付与されます。
- そして入社から1年6ヵ月後の2021年10月1日に「11日」付与されます。
- さらに入社から2年6ヵ月後の2022年10月1日に「12日」付与されます。
- 以後、表のとおり
つまり、勤続年数に応じて付与される日数がどんどん増えていき、勤続6年6ヵ月以降は上記の例だと毎年10月1日に20日づつ付与されます。
さて、ここからが本題です。有給の時効についてです。
有給休暇を使わなかったら、時効で消滅する?
そこで生まれる疑問があります。
有給休暇を使わなかったら、どんどん溜まって凄い日数になるのでは?という疑問です。
どんどん溜まっていくとすると、数年使わなければあっという間に100日を超えてしまって、退職時の一斉使用の時にとんでもない事になってしまうのでは?と経営者は感じるようです。
しかし、実際には有給休暇には使用期限(時効)があるので、一定期間使わないと消えていく仕組みになっています。
その一定期間というのは、「有給休暇が付与されてから2年(労働基準法第115条)」です。
つまり、有給休暇は2年間使わなければ、消えてなくなってしまうということです。
有給休暇の時効の例
例えば、2020年4月1日に正社員が入社した場合、次のように付与されます。
- 入社6ヵ月後の2020年10月1日に「10日」付与されます。
- そして入社から1年6ヵ月後の2021年10月1日に「11日」付与されます。
- さらに入社から2年6ヵ月後の2022年10月1日に「12日」付与されます。
- 以後、表のとおり
このうち、最初に付与された有給休暇がいつまで有効かと言いますと、2020年10月1日から2年間なので、2022年9月30日まで有効となります。
1回目の付与では、こんな感じで
2020/10/1 | |
1回目 | 10日 |
残日数 | 10日 |
2回目の付与時は、1回目に付与された10日がまだ有効なので2回目に付与された11日と合計して21日が有効です。(有給休暇を1日も使用していない場合。)
2020/10/1 | 2021/10/1 | |
1回目 | 10日 | 10日 (まだ有効) |
2回目 | 11日 | |
残日数 | 10日 | 21日 |
3回目の付与時は、1回目に付与された10日が時効で消滅してしまい、2回目に付与された11日と3回目に付与された12日の合計23日が有効です。(有給休暇を1日も使用していない場合。)
2020/10/1 | 2021/10/1 | 2022/10/1 | |
1回目 | 10日 | 10日 (まだ有効) |
消滅 |
2回目 | 11日 | 11日 (まだ有効) |
|
3回目 | 12日 | ||
残日数 | 10日 | 21日 | 23日 |
4回目の付与時は、2回目に付与された11日が時効で消滅してしまい、3回目に付与された12日と4回目に付与された14日の合計26日が有効です。(有給休暇を1日も使用していない場合。)
2020/10/1 | 2021/10/1 | 2022/10/1 | 2023/10/1 | |
1回目 | 10日 | 10日 (まだ有効) |
消滅 | 消滅 |
2回目 | 11日 | 11日 (まだ有効) |
消滅 | |
3回目 | 12日 | 12日 (まだ有効) |
||
4回目 | 14日 | |||
残日数 | 10日 | 21日 | 23日 | 26日 |
5回目の付与時は、3回目に付与された12日が時効で消滅してしまい、4回目に付与された14日と5回目に付与された16日の合計30日が有効です。(有給休暇を1日も使用していない場合。)
2020/10/1 | 2021/10/1 | 2022/10/1 | 2023/10/1 | 2024/10/1 | |
1回目 | 10日 | 10日 (まだ有効) |
消滅 | 消滅 | 消滅 |
2回目 | 11日 | 11日 (まだ有効) |
消滅 | 消滅 | |
3回目 | 12日 | 12日 (まだ有効) |
消滅 | ||
4回目 | 14日 | 14日 (まだ有効) |
|||
5回目 | 16日 | ||||
残日数 | 10日 | 21日 | 23日 | 26日 | 30日 |
ここまでくればパターンは分かってきたと思いますので、以下省略しますが、最終的に8回目以降の付与で最大20日+20日の40日有効になります。
今回の例では、分かりやすくするために1日も消化しないパターンを紹介しましたが、実際には法的に最低でも年に5日は消化する必要がありますので、それにより実際の残日数は変わりますのでご注意ください。
パートの場合はどうなる?
パートの場合も時効は2年ですので考え方は正社員と変わりません。
ただし、労働日数が少ないパートの場合は、そもそも付与される日数が異なりますので、付与される日数を理解しましょう。
パートの有給付与日数については、こちらで解説していますのでご確認ください。