インフルエンザの予防接種を社員に強制したいが法的に問題がありますか?
時代的に人材不足ですし、複数人が長期に渡って欠勤となると大きな打撃となりますので、リスク管理として予防接種を強制したいです。
もちろん費用は会社が負担しますがいかがでしょうか?
法的には、予防接種を強制することは難しいです。
法的に、会社には社員の健康管理を行う義務があり、定期健康診断の実施などを求めていますが、インフルエンザなどの予防接種までは求められていません。
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労働安全衛生法では、「社員が会社で働く上での健康管理」を会社に求めています。
そのため健康診断の実施や長時間労働者へのケアなどが義務化されていますが、インフルエンザなどの予防接種までは求められていません。
そのため、インフルエンザの予防接種を強制するというのは法的にはかなり難しいということになります。
また、法律で求められている定期健康診断ですら、社員が受診しない場合には会社の命令として受診指示をすることは出来ても、社員に拒否されてしまうと打つ手があまりなくなります
首根っこを掴んで病院に連れて行くということはできないわけですから、その対応は非情に難しいものです。
そうなると、法的な根拠を持たないインフルエンザの予防接種を強制することなど、ますますできないという事になります。
何か良い方法は無いの?
法的に無理なら諦めるしかないのでしょうか?
もちろん、すぐに諦める必要はありません。
強制しなければ良いだけで、社員が自主的にインフルエンザの予防接種を受けてくれれば良いわけですので、考え方はいろいろあります。
社員が、メリットを感じれば自主的に受けてくれる可能性が高くなるのは簡単に想像できますよね?
では、メリットを感じてもらうような制度を考えれば良いわけです。
1.予防接種の費用を会社が負担する
まず、一番最初に考えられるのが、「インフルエンザの予防接種にかかった費用は会社が負担する」というのです。
会社としては費用を負担したとしても、予防接種を受けてもらえれば、インフルエンザにかかる確率や重症化する確率が下がるのでメリットは十分にあります。
わずか数千円の費用で、欠勤の確率が下がるなら安いものです。
この考え方をもっと広げるとすれば、同居の家族からの感染リスクを減らすことを目的として、同居の家族の分まで会社が負担したとしてもメリットがあると思います。
2.予防接種を受けてくれたら手当を払う
インフルエンザの予防接種の費用まで負担してくれて、更に手当までもらえるとすれば社員としてはうれしいのではないでしょうか?
手当の金額をいくらにするかという検討は必要ですが、費用負担だけでは予防接種を受けてくれない社員でも、手当がもらえるとなると受けてくれる可能性はぐっと上がるはずです。
会社としては、そこまでしてもメリットがあると感じるのであれば導入しても良い制度だと思います。
3.インフルエンザによる欠勤が無い場合に手当を払う
最近では、インフルエンザで休んだ場合は有給休暇とは別に特別休暇を設ける会社が増えてきています。
でも、よく考えると変じゃないですか?
インフルエンザで休んだ場合でも給料が満額もらえるのは社員として助かるのは分かります。そこまではOKです。
でも、その裏で一番苦労したのは、「インフルエンザにかからず、休んだ人の分までカバーして働いた社員」じゃないでしょうか?
私は、今の世の中でインフルエンザで休んだ人には特例があるのに、インフルエンザにかからず毎日頑張って働いた人に特例が無いのはおかしいと思っています。
そのため、インフルエンザが流行する一定の期間に、インフルエンザによる欠勤が無い社員に対しても手当を用意するのも良いと思います。
その結果として、インフルエンザの予防接種を受けてくれる確率が上がるのでは?と考えます。
もちろん、ここで挙げたのは一例ですので、他にもいろんなアイデアがあると思います。
社員にメリットを感じてもらって、その結果として会社がメリットを受けるやり方を考えてみてください。
インフルエンザの予防接種に関するまとめ
・法的に会社が予防接種を強制することはできない
・アイデア次第で予防接種を受けてもらいやすくなる
・社員にメリットがある制度を考えると、最終的に会社にもメリットがある