社員のモチベーションをアップさせたい
そう思う経営者は多いと思います。
そんな、会社経営者には必ず知っておくべき理論があります。
それは、フレデリック・ハーズバーグの「動機付け-衛生理論」です。
非常に有名な理論なので、知らない方は概要だけでも押さえておくべきだと思います。
どんな理論かと言いますと、こんな内容です。
何だか、初めて読むと意味が分かりにくいと思いですよね?
ここで、簡単な例を挙げます。
例えば、職場がとても暑いとしましょう。
すると社員はこのことを不満に思うはずです。
「こんな暑いところで働けるか!」という不満です。
そんな不満に経営者が気づいて、エアコンをつけて快適な温度を保つようになったらどうでしょうか?
これで「職場が暑い」という「不満」は解消しますね。
しかし、「職場が暑い」という「不満」は解消しますが、単に「不満」が解消するだけであって、「やる気」がアップするわけではありません。
「職場が暑い」という要因は、「不満」につながる要因であって、「やる気」につながる要因ではないということです。
つまり、1つの要因は、「不満足」、「やる気」のどちらかにのみ影響を与えるということになります。
ちなみに、フレデリック・ハーズバーグは、仕事には2つの要因があると結論付けました。
1.「衛⽣要因」
苦痛や⽋乏状態を避けたいという、動物としての低レベルな欲求
(不足すると、不満につながる要因)
2.「動機づけ要因」
精神的に成⻑したいという、⼈間としての⾼レベルな欲求
(やる気につながる要因)
では、具体的にどういった事が「衛生要因」、「動機づけ要因」になるのかを紹介します。
まずは「衛生要因」
「衛⽣要因」は職場環境に関連が強く、以下のようなものがあります。
・会社の⽅針と管理
・監督
・仕事上の対⼈関係
・作業環境
・⾝分
・安全保障
・給与
最初の方の例で挙げた「職場が暑い」というのは作業環境になるので、不満にしかつながらないというわけですね。
そして、注目してほしいのが「衛生要因」に給与が入っているということです。
一般的に、給与が上がればモチベーションが上がると誤解している方が多いのですが、あくまで給与は不満につながる要因で、やる気にはつながらないのです。
いまいち、信じられないと思いますので、またまた例を挙げてみます。
あなたは今、月給20万円で働いているサラリーマンだとします。
ある日、社長が突然やってきて、「キミは頑張っているので今月から月給を5万円アップして25万円にすることにしたよ」と言われました。
あなたは大喜びします。
なんて言ったって、月に使えるお金が5万円も上がるんです。
あなたは社長に感謝し、「頑張って仕事をするぞ!」と思います。
(この瞬間は確かにやる気がアップしています)
でも、想像してみてください。
長い期間で考えると、この時のモチベーションはどのくらい続きますか?
せいぜい2、3ヵ月ではないでしょうか。
そして、それ以降は月給25万円というのが当たり前になり、それが基準になります。
人間というのはそういうものだから仕方ありません。
そして、今度は25万円から給与が上がらないということに不満を感じるようになるのです。
つまり、給与は「衛生要因」であって、「動機づけ要因」ではないということです。
そのため、単純に給与を上げただけでは、やる気にはつながらず、今まで以上に働いてくれるようになるわけではありませんので、生産性の向上は期待できないのです。
つぎは、「動機づけ要因」
「動機づけ要因」は、職場環境ではなく仕事の内容に関係があり、以下のようなものがあります。
・達成
・承認
・仕事そのもの
・責任
・昇進
・成⻑の可能性
仕事を達成したときや、上司に認めてもらったときや褒められたとき、お客さんに感謝の言葉をもらったとき、自分自身が成長を感じたときなどにモチベーションが上がるというわけです。
もちろん、実務ではそう単純なものではなく、きちんとマネージメントしなければ社員のモチベーションをアップさせることはできません。
しかし、上記の理論を知っているかどうか、意識してマネージメントを行っているかどうかで、大きく差が出ることは間違いありません。
当事務所でも「動機づけー衛生理論」を意識しながらクライアントにアドバイスを行っています。
みなさんも、自社の労務管理を改善する際、特に社員満足を意識して改善を行うときは「動機づけー衛生理論」を意識しながら改善を行うことをおすすめします。