先日当社で、年俸制を導入しました。すると、導入後数ヶ月たって、年俸制の社員から「給料に残業代がついてない」と言われました。
会社としては、年俸制なので「残業も含んで1年間で○○○万円」という認識でいました。
この場合、年俸制社員に残業代を支払う必要があるのでしょうか?
そのため、年俸制の社員との契約には十分話し合いが大切になります。
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一般的には、「年俸制であれば残業代は必要ない」と思われがちですが、それは間違いです。
過去に、創栄コンサルタント事件(平成14.5.17 大阪地裁判決)などの年俸制の残業問題について争われた裁判がたくさんあります。
ポイントを簡単にまとめると以下のようになります。
ポイント1 | 年俸制労働者であることは割増賃金不要の理由にはならない。 |
ポイント2 | 年俸に割増賃金が含まれているというだけでは割増賃金を支払っているとは認められない。 |
ポイント3 | 年俸に割増賃金が含まれているようにする場合は、基本給部分と割増賃金部分が明確に区別されていて、その含まれている割増賃金いくらなのかが分かるようになっている必要がある。 |
ポイント4 | 残業時間が想定より多く、「実際の割増賃金が」、「ポイント3で含まれている割増賃金」より多い場合は、差額を支給する必要がある。 |
そのため、ご質問のケースでは「単に年俸制を導入しただけ」なので、残業をさせた場合は、残業代を別に支払う必要があります。
具体的にいくら残業代を払う必要があるかは、年俸社員の残業代の計算方法は?に詳しく説明していますので確認してみてください。
残業代を含んだ年俸制にしたい場合は、しっかりした雇用契約が大切
一定時間の残業代を含むという取り扱いをしたいのでしたら、社員に説明して合意をとった上で、就業規則にしっかりとそのことを明記し、トラブル防止のためにも雇用契約書にも明記することが大切です。
1ヶ月あたり、何時間分までの残業代を含むのか、その金額はいくらなのかなど、細かく定めましょう。