パートやアルバイトにも有給があるという噂を聞きましたが、本当にあるのでしょうか?

パートやアルバイトにも有給休暇が有ります。

正社員に比べると日数は少ないですが、所定労働日数に応じて有給の日数が定められています。

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多くの経営者は納得がいかないようですが、法はパートやアルバイトにも有給休暇を付与する定めになっています。

 

 

もちろん、パートやアルバイトの場合は労働日数そのものが少ないことが多いので、有給休暇の日数は正社員とは異なります。

 

 

パートやアルバイトの有給の日数は?

法的にパートやアルバイトの場合、付与される有給休暇の日数は次の表のようになっています。(労働基準法施行規則 第24条の3第3項)

週所定労働日数 1年間の所定労働日数 雇入れ日から起算した継続勤務期間
6ヵ月 1年6ヵ月 2年6ヵ月 3年6ヵ月 4年6ヵ月 5年6ヵ月 6年6ヵ月
4日 169日から216日 7日 8日 9日 10日 12日 13日 15日
3日 121日から168日 5日 6日 6日 8日 9日 10日 11日
2日 73日から120日 3日 4日 4日 5日 6日 6日 7日
1日 48日から72日 1日 2日 2日 2日 3日 3日 3日

 

 

ぱっと見、少し見方が分かりにくいかもしれませんので、ケースに応じて具体的に説明します。

 

週の労働日数が決まっている場合

例えば、週の労働日数が3日の人がいるとします。

 

その場合は、先ほどの表のこの部分「週所定労働日数」に注目します。

週所定労働日数 1年間の所定労働日数 雇入れ日から起算した継続勤務期間
6ヵ月 1年6ヵ月 2年6ヵ月 3年6ヵ月 4年6ヵ月 5年6ヵ月 6年6ヵ月
4日 169日から216日 7日 8日 9日 10日 12日 13日 15日
3日 121日から168日 5日 6日 6日 8日 9日 10日 11日
2日 73日から120日 3日 4日 4日 5日 6日 6日 7日
1日 48日から72日 1日 2日 2日 2日 3日 3日 3日

 

 

今回の事例では、週の所定労働日数は3日と決まっていましたので、表の3日の部分に注目します。

週所定労働日数 1年間の所定労働日数 雇入れ日から起算した継続勤務期間
6ヵ月 1年6ヵ月 2年6ヵ月 3年6ヵ月 4年6ヵ月 5年6ヵ月 6年6ヵ月
4日 169日から216日 7日 8日 9日 10日 12日 13日 15日
3日 121日から168日 5日 6日 6日 8日 9日 10日 11日
2日 73日から120日 3日 4日 4日 5日 6日 6日 7日
1日 48日から72日 1日 2日 2日 2日 3日 3日 3日

この緑のラインが、週3日勤務する方の有給付与の表です。

 

この場合の有給休暇は、入社から6ヵ月継続勤務で5日、入社から1年6ヵ月で6日、2年6ヵ月で6日、3年6ヵ月で8日・・・・・となるわけです。

 

週の労働日数が決まっていない場合

週何日と決まっていなくて、その都度シフトを組んで勤務している場合はどうなるのでしょうか?

 

その場合は、1年間に換算したときの労働日数で判断します。

例えば、週に何日とは決まっていないけど、月に12日程度でシフトを組むと決まっていたとします。

 

すると、年間で換算すると144日ですね。
そこで、先ほどの表の「1年間の所定労働日数」に注目します。

週所定労働日数 1年間の所定労働日数 雇入れ日から起算した継続勤務期間
6ヵ月 1年6ヵ月 2年6ヵ月 3年6ヵ月 4年6ヵ月 5年6ヵ月 6年6ヵ月
4日 169日から216日 7日 8日 9日 10日 12日 13日 15日
3日 121日から168日 5日 6日 6日 8日 9日 10日 11日
2日 73日から120日 3日 4日 4日 5日 6日 6日 7日
1日 48日から72日 1日 2日 2日 2日 3日 3日 3日

 

今回の事例では、年間の所定労働日数は144日でしたので、表の121日から168日の部分に注目します。

週所定労働日数 1年間の所定労働日数 雇入れ日から起算した継続勤務期間
6ヵ月 1年6ヵ月 2年6ヵ月 3年6ヵ月 4年6ヵ月 5年6ヵ月 6年6ヵ月
4日 169日から216日 7日 8日 9日 10日 12日 13日 15日
3日 121日から168日 5日 6日 6日 8日 9日 10日 11日
2日 73日から120日 3日 4日 4日 5日 6日 6日 7日
1日 48日から72日 1日 2日 2日 2日 3日 3日 3日

この緑のラインが、週3日勤務する方の有給休暇付与の表です。

 

この場合の有給休暇は、入社から6ヵ月継続勤務で5日、入社から1年6ヵ月で6日、2年6ヵ月で6日、3年6ヵ月で8日・・・・・となるわけです。

 

この表よりも所定労働日数が多い場合は正社員と同じ

では、この表よりも多く働く人の有給休暇はどうなるのでしょうか?

 

実は、パートやアルバイトでも所定労働日数が多い場合の有給休暇は、上記の表ではなく正社員と同じ日数となります。

 

具体的には、以下のどれかに当てはまれば正社員と同じ日数となります。

  • 週の所定労働時間が30時間以上
  • 週の所定労働日数が5日以上
  • 年間の所定定労働日数が217日以上

 

付与日数は、次の表のようになっています。(労働基準法 第39条第2項)

雇入れ日から起算した継続勤務期間
6ヵ月 1年6ヵ月 2年6ヵ月 3年6ヵ月 4年6ヵ月 5年6ヵ月 6年6ヵ月以降
付与日数 10日 11日 12日 14日 16日 18日 20日

 

有給を使ったときの賃金はどうなる?

とりあえず、パートやアルバイトにも有給休暇があることは分かりました。

 

ここでこんな疑問が発生しませんか?

 

「ところで、パートやアルバイトが有給休暇を使ったときの賃金はどうすれば良いのでしょう?」って。

 

月給制の正社員なら、1日有給休暇を使ったらときに普通に月給額を払えば良いので簡単です。

 

 

でも、パートやアルバイトの場合、時給制で更に日によって所定労働時間が異なったりするので、どうなるのだろう?という疑問が出てきます。

 

 

これは結論から言うと、有給休暇を使った日の所定労働時間の分だけ賃金が発生することになります。

 

具体例を挙げると次の通りです。

時給1000円で、シフトが次のように組まれていたとします。

休日 出勤日

4時間

休日 出勤日

5時間

休日 出勤日

6時間

休日

 

上記の月曜日に有給休暇を使った場合、本来は4時間勤務だったので

4時間×1000円=4,000円

がこの日の賃金として発生します。

 

 

同様に水曜日の場合は、本来4時間勤務だったので

5時間×1000円=5,000円

がこの日の賃金として発生します。

 

つまり、本来通常通り勤務した場合に発生する賃金と同じとなります。

 

ちなみに、平均賃金や標準報酬日額を基に支払うという方法もありますが、注意しなければならない点もありますし、当事務所ではあまりお勧めしていません。

 

有給休暇が使えるのは所定労働日(出勤日)のみ

パートやアルバイトに有給休暇があると知った労働者が勘違いしやすい点があります。

 

それは、次のようなものです。

有給をゲットしたので1週間(7日間)まるまる休もう!そうすれば、1週間分(7日分)の給料をタダで貰えるぞ!

一見すると正しいように感じますが、一部誤りがあります。

 

 

有給休暇というのは、あくまで所定労働日(本来は出勤しないといけない日)に使えるもので、もともとの休みの日には使えないからです。

 

具体例を言うとこんな感じです。

シフトが次のように組まれていたとします。

休日 出勤日

4時間

休日 出勤日

4時間

休日 出勤日

4時間

休日

 

このシフトでは、月・水・金に4時間勤務することになっています。

 

この場合に有給休暇が使えるのは、あくまで出勤日である月・水・金だけで、もともと休みであった日・火・木・土には使えないのです。

 

つまり、上記の週をまるまる休みたい場合は、出勤日である月・水・金の3日に有給休暇を消化するため、この1週間の賃金は一般的には12時間分となるわけです。

 

有給休暇を使う側として、ここは注意した方がよいので覚えておいてください。