36協定の休日労働の部分についての記載方法がよく分かりません。
特に「所定休日」や「労働させることのできる休日並びに始業及び終業の時刻」をどのように書いたら良いのでしょうか
確かに、36協定の休日については若干複雑なので分かりにくい部分があります。
勘違いをしている会社や、書き方そのものがよく分からないという話をよく聞きますので、詳細を解説します。
もっと詳しく
法定休日に労働させる場合、36協定で以下の内容を決める必要があります。
- 休日労働をさせる必要のある具体的な事由
- 休日労働をさせる必要のある業務の種類
- 休日労働をさせる必要のある労働者の数
- 所定休日
- 労働させることのできる休日並びに始業及び終業の時刻
- 有効期間
様式で言うと、以下の赤枠で囲った部分です。
ちなみに、厚生労働省のパンフレットに載っている記入例がこちらです。
上記の中の、具体的な事由、業務の種類、労働者の数、有効期間については難しくありませんし、時間外労働の部分と同じなので省略します。
分かりにくいのは、「所定休日」、「労働させることのできる休日並びに始業及び終業の時刻」
さて、問題は、「所定休日」、「労働させることのできる休日並びに始業及び終業の時刻」です。
まず、「所定休日」です。
法定休日に労働させる場合に、36協定で休日労働に関する定めが必要になるので、この所定休日のところに、「法定休日」のみを書くのかそれとも「法定外休日」を含んだ記載なのかについて迷う会社もあるようです。
ズバリ回答すると、法定外休日も含んだ所定休日を記載するのが正しいです。
つまり、毎週土日が休みの会社は、多くの場合でこの部分に「毎週土曜日・日曜日」と記載すれば大丈夫です。
個別にシフト制などで休日を定める場合は「カレンダーによる」と記載することもできます。
(この場合、代表的なカレンダーの添付を求められる場合もあります)
「労働させることのできる休日並びに始業及び終業の時刻」は?
つぎは、問題の「労働させることのできる休日並びに始業及び終業の時刻」です。
この言葉の複数の意味が入っているので、分かりやすく2つに分解して考えていきます。
この言葉を2つに分けるとこのようになります。
「労働させることのできる休日」
「労働させることのできる始業及び終業の時刻」
まずは「労働させることのできる休日」
「労働させることのできる休日」について、一般的に記載されるパターンが「1カ月のうち2日」や「1カ月のうち3日」です。
しかし、この「1カ月のうち2日」とは、どの休日のうちの2日なのでしょうか?
様式の隣に「所定休日」があって、「毎週土曜日・日曜日」と記載したとします。
一見すると、1カ月の「毎週土曜日・日曜日」のうち、2日労働させることができるという意味のように感じます
でも、これは間違いで、本当の意味は「法定休日のうち1カ月に2日労働させることができる」という意味です。
そのため、多くの場合で1カ月の日曜日のうち2日は休日労働させることができるという意味になります。(会社によって法定休日が異なるので、正確には就業規則によります。)
この意味を誤解している会社や労働者が多いようなので、この機会に正しく理解しておきましょう。
この点を理解した上で、実際に何日休日労働が行われる可能性があるかを判断して記載することが大切です。
ちなみに、法定休日という言葉の意味が分からない場合は、こちらのページをご覧ください。
次は、「労働させることのできる始業及び終業の時刻」
「始業及び終業の時刻」とは、読んで字のごとく休日労働をさせるときの「始業及び終業の時刻」です。
「9時から18時」というように記載することが多いようです。
でも、本当に9時から18時だけに労働させますか?
実際は、緊急の用件などで8時から働いたり、場合によっては夕方からということもあるのではないでしょうか?
そうなると、36協定と実際の労働が異なるということになります。
労基署から指摘される可能性がゼロではありませんし、36協定はできる限り実務に沿った内容にすることをおすすめします。
例えば、当事務所では次のような記載をすることもあります。
もちろん、これは一例です。
実際に起こり得る内容で協定を交わし、届出書に記載するようにしましょう。