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祝日に勤務した場合、ちょっと話がややこしいので、複数のパターンに分けて考えましょう。
大きく分けると、次の2つに分かれます。
- 雇用契約で祝日が休みになっている場合
- 雇用契約で祝日が休みではない場合
それぞれのどのようになるか見ていきましょう。
雇用契約で祝日が休みになっている場合
月給制の社員が、雇用契約で祝日が休みになっている場合、当然ですが祝日の勤務は月給の中に含まれていません。
そのため、祝日に働かせた場合、会社には月給とは別に割増賃金の支払い義務があります。
では、その割増率は1.0なのでしょうか?
それとも1.25なのでしょうか?
それとも1.35なのでしょうか?
具体的な例で見ていきましょう。
雇用契約の労働条件
- 1日の所定労働時間が7時間
- 月曜から金曜日まで勤務(土日は休み)
- 祝日は休み
- 月給20万円(時給換算にした場合、1430円とする)
この契約で、以下のように木曜日の祝日に勤務したとします。
休みの日に、7時間働いているので、割増率は「1.35」なのでは?と思いますよね。
就業規則の定め方で例外はありますが、上記の場合は「1.00」です。
結論から言うと、割増賃金は次の額になります。
なぜ、この日の労働に対する残業代の割増率って「1.00」なのでしょうか?
有名な話ですが、週の法定労働時間は40時間でしたよね。
そして、1日の法定労働時間は8時間です。
労働基準法では、上記の1日8時間または週40時間を超えた労働に対して2割5分以上の割増を求めています。
もう一度、先ほどの勤務実績を見てください。
1週間の労働時間を合計してみると、35時間ですね。
ということは、木曜日の祝日勤務は、週40時間以内、しかも1日8時間以内の勤務となります。
つまり、この労働が労働基準法で定める法定外残業にならないんです。
では、休日労働なので「1.35」にならないのか?という話もよく聞きますが、実は労働基準法の定める法定休日に働いたときだけ「1.35」になります。
(この辺りの詳しい解説は「法定休日労働と法定外休日労働は同じ休日出勤でも割増率が違う」をご覧ください。)
そのため、結果として割増率は「1.25」でも「1.35」でもないく、「1.00」になるのです。
ただし、雇用契約で祝日は休みとなっていたので、会社には月給とは別に割増賃金の支払い義務があります。
そのため、上記で計算したように「時給換算分×労働時間の賃金」を支払うということになるわけです。
では、上記の例で祝日に9時間働いたらどうなるの?
そこで、次の疑問が湧いてきます。
先ほどの例で、祝日に9時間働いたらどうなるんでしょう?
日 | 月 | 火 | 水 | 木(祝日) | 金 | 土 |
休日 | 7時間 | 7時間 | 7時間 | 9時間 | 7時間 | 休日 |
結論から言うと、割増賃金は次の額になります。
1日8時間までは「1.00」、そして8時間を超えた分は「1.25」となるわけです。
基本さえ身に付ければ、簡単ですね。
そのため、就業規則を確認することをおすすめします。
雇用契約で祝日が休みではない場合はどうなる?
それでは、雇用契約で祝日が休みではない場合はどうなるのでしょうか?
月給制の社員が、雇用契約で祝日が休みではなく、通常通り勤務することになっている場合、祝日の勤務は月給の中に含まれます。
そのため、祝日に労働したとしても、それは通常の契約の範囲内ですので割増は発生しません。
具体的な例で見ていきましょう。
雇用契約の労働条件
- 1日の所定労働時間が7時間
- 月曜から金曜日まで勤務(土日は休み)
- 祝日は通常通り勤務
- 月給20万円(時給換算にした場合、1430円とする)
この条件で、祝日に7時間働いたらどうなるんでしょう?
日 | 月 | 火 | 水 | 木(祝日) | 金 | 土 |
休日 | 7時間 | 7時間 | 7時間 | 7時間 | 7時間 | 休日 |
結論を言うと、この祝日勤務は普通の契約通りの労働なので、割増は発生しません。
では、この祝日に9時間働いたらどうなるんでしょうか?
日 | 月 | 火 | 水 | 木(祝日) | 金 | 土 |
休日 | 7時間 | 7時間 | 7時間 | 9時間 | 7時間 | 休日 |
これは、一般的な計算と同じで、割増賃金は次の額になります。
1日8時間までは「1.00」、そして8時間を超えた分は「1.25」となるわけです。
基本さえ身に付ければ、簡単ですね。
まとめ
このように、雇用契約で定められた条件で祝日が労働日なのかどうなのか、そしてその労働が法定内残業なのか法定外残業なのかで大きく変わってきます。
また、就業規則で定めた割増率の記載によっても異なりますので、その点に注意して正しく計算してください。